どんな見え方?聞こえ方?高齢者の世界

高齢者の身体の変化

加齢に伴う身体の変化

加齢に伴う身体の変化
  • 高齢になることであらゆる感覚機能が低下します。そのため、脳に入ってくる情報量が減っていきます。代表的な変化として現れるのが色や音の情報を得る視覚・聴覚の衰えです。感覚機能の衰えはコミュニケーションに大きな影響を与えます。視覚の衰えは40~50歳ごろから始まることが多く、原因はいくつかあります。聴覚の衰えは若い時期から徐々に始まり、高音域の音から聞こえにくくなっていきます。そのうち音全体が聞こえなくなっていき、言葉が聞き取りにくくなります。

  • 視覚や聴覚だけではなく、味覚や嗅覚も衰えていきます。味覚を司る味蕾の数が減少し、加齢による形状変化により本来の機能を失います。また、唾液の分泌量が減ることも味覚に影響を与える要因の1つです。加齢による変化に限らず、薬剤による影響で味覚が衰えることもあります。嗅覚は20代から衰えていきます。しかし、他の感覚機能に比べると低下の度合いは少ないようです。近年、嗅覚とアルツハイマー病との関係性について多くの研究が行われています。

  • 感覚機能が低下することで日常生活における様々な場面で不便を感じるようになります。また、事故などのリスクが高くなります。例えば、電話の着信音や家のチャイムなどは音で情報を伝えるため、聴覚が衰えることでそれらに気付けなくなります。視覚が衰えると、視界が狭くなり対象物の判別がしづらくなることから、交通事故のリスクが高まります。味覚が衰えると食事を楽しめなくなり、食欲が低下することで栄養不足に陥る可能性があります。

  • 感覚機能の低下に伴って心理的な変化も現れます。若いころは問題なくできていたことができなくなり、それによって悲観的な感情を抱きやすくなります。ネガティブな感情を持ち続けることでうつ病を発症する高齢者も少なくありません。加齢による性格変化は認知症を患った際に多く見られ、短気・頑固な性格になる傾向が強いです。しかし、年を重ねることで優しい性格に変化する人もいるため、高齢者すべてが同じような性格に変化するわけではありません。