どんな見え方?聞こえ方?高齢者の世界

高齢者の精神面の変化について

特徴的な精神面の変化

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感覚機能の衰えに伴う変化

高齢者は色や音などの情報を得る感覚機能が衰えるだけではなく、体力の低下や持続力の低下に伴い精神面にも変化が現れます。若いころと比べてできることが少なくなるため、弱気になり悲観的な感情を抱きがちです。社会生活に対して消極的な姿勢を持つようになり、ますます世間の変化や新しい情報に付いていけなくなり、孤立していきます。その傾向が強くなっていくと、うつ病を患います。うつ病は精神機能や身体機能が低下する精神疾患です。若い人がなりやすいイメージがありますが、実は高齢者にも多いのです。

感覚機能の衰えに伴う変化

高齢者のうつ病

うつ病の症状として一般的なものとして、「憂うつ感や孤独感などの抑うつ気分」「考えがまとまず、何をするにも気力がわかないなどの精神運動性抑制」「疲れやすい、不眠、食欲不振などの身体症状」などが挙げられます。これらの症状が認められた場合にうつ病と診断されますが、高齢者は慢性的に心身の不調を抱えている場合が多く、診断が困難です。精神的な不調がきっかけとなる病気ですが、高齢者の場合は身体的な病気を慢性的に抱えていることも多く、合併症による全体的な機能低下を防ぐためにも早期発見と治療が求められます。記憶力の低下や思考の柔軟性の減退、学習能力の低下など、知的機能の低下は20代から徐々に始まります。そのため、日常生活の中で知的な刺激を加え、脳を活性化しながら予防に取り組む必要があります。

性格変化には様々なケースがある

高齢者になると、頑固、わがまま、短気になるイメージがありますが、最近はこれらの性格変化は加齢によるものだけではないという考えがあり、認知症による影響があるかどうかで分類すべきだという意見が多いようです。高齢者の性格変化は認知症を患った場合に多く、特に上記で挙げた頑固、短気などの性格変化につながりやすい傾向があります。つまり、性格変化については高齢者全般の特徴ではなく、あくまで認知症などの疾患をきっかけに特異的に現れるものであると理解しておきましょう。
実際、年を重ねていくにつれておだやかな性格になり、優しくなることも多いです。例えば、昔は怖かった人が、孫ができたことをきっかけに非常に温厚な性格になったという話をよく聞きます。高齢者の精神面の変化は、うつ病や認知症などをきっかけに現れることがありますが、それに限らないことが分かります。特に高齢者介護に携わる際には十分に把握しておく必要があります。