どんな見え方?聞こえ方?高齢者の世界

高齢者は入ってくる情報量が少なくなる

入ってくる情報量が減る?!

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加齢による衰えについて

加齢により高齢者は身体の様々な機能が衰えていきます。しかし、具体的な感覚は本人しか分かりません。加齢による変化として代表的なものは、視覚や聴覚の衰えです。そのことは理解していても、実際どのように見えにくくなっているか、音が聞こえにくくなっているかは想像の範囲を出ません。高齢者介護においては、本人の状態を把握することが非常に重要です。身体機能の衰えが日常生活にどのような影響を与えるかを理解していれば、コミュニケーションの改善やリスクの排除が可能となります。

加齢による衰えについて

感覚機能の低下

人間は「視覚」「聴覚」「触覚」「味覚」「嗅覚」のいわゆる五感を通じて情報を得ています。この感覚機能が、加齢により衰えていきます。つまり、感覚機能が衰えることで外部の情報が入りにくくなっていくのです。情報量が不足していると、正確な判断を下すことができません。特に、色や音を識別する視覚と聴覚は外部情報を得る上で重要な役割を果たしています。

視覚の衰え

視覚の衰えは40~50歳ごろから始まることが多いです。最初に衰えるのは遠方視力です。原因はいくつかあり、光の屈折力を調整する角膜や水晶体機能の低下、光を受け取る網膜の老化などが考えられます。
また、白内障、緑内障、加齢黄斑変性などの病気により、機能が大きく衰えるケースもあります。白内障になると水晶体が濁るため、視力だけではなく色覚にも異常が出ます。病状の進行は比較的遅いですが、暗い場所が見えにくくなるため転倒などのリスクが高くなります。緑内障は眼球に対する圧力が強い状態が続くことで視神経に異常をきたし、最悪の場合は失明することもあります。加齢黄斑変性は視神経が集まっている部位の周辺に新たな血管が作られ、そこから出血することによって景色が歪んで見える病気です。こちらも、最悪の場合失明する可能性があります。

聴覚の衰え

音は高音域と低音域に分けられます。一般的に、高音域を聞く力から衰えていきます。さらに年を重ねていくと、徐々に低音域が聞き取りにくくなっていきます。聴覚の衰えについては個人差が大きいですが、ほとんどの場合高音域を聞く力のほうから衰えていきます。
また、老化による機能低下の影響で老人性難聴を発症する場合があります。内耳の機能が低下し、音を伝える機能のバランスが崩れます。初めのうちは耳鳴りなどの症状が出ます。そのうち音全体が聞こえなくなっていき、言葉が聞き取りにくい状態になります。