聴力が低下している場合の注意点
多くの人が難聴になる
加齢により耳が聞こえにくくなることは誰もが知っているかと思います。特に高音域の音が聞き取りにくくなりますが、その他にどの方向から音が聞こえているか判別できなくなったり、早口の言葉が聞こえにくくなるなどの症状があります。年を重ねていくごとにその症状は強まっていき、80歳以上の約8割は老人性難聴の症状があります。実のところ、老人性難聴の原因については様々な説があるものの、明確な理由については分っていません。
早めの対策を
超高齢化社会に突入し、多くの人が高齢者になっている日本において、聴覚が衰えた場合のコミュニケーション対策は非常に重要な項目です。介護職に携わっている人でなくともコミュニケーションの方法を知っておくべきです。高齢者の中には、相手が何を言っているか聞き取れず、何度も聞き返すのは申し訳ないと思い、理解したふりをする人も少なくありません。こういったコミュニケーションの齟齬が連続すると、いずれ自分の殻に閉じこもるようになり、引きこもりなどの行動につながる恐れがあります。
老化による聴覚の衰えに対して効果的な対策としてまず挙げられるのは補聴器の利用です。できるだけ早めに利用を開始して、トレーニングをしておくことで聴覚の機能低下を緩めることができます。近年は補聴器の技術が上がっており、様々な種類があります。利用する際には自分に合う形状・機能の補聴器を選択することが大切です。難聴を自覚していても補聴器を利用することに抵抗を感じている高齢者に対しては、難聴であることのリスクや不便さについてしっかり説明し、利用に納得してもらえるように努めましょう。
会話のコツ
聴覚が衰えた高齢者の介護においてはいくつかの配慮が求められます。「相手の注意を引いてから会話を始める」「相手の顔を見ながら話す」「通常よりも大きめの声で話す」「近づいて話す」「ゆっくり話す」などの配慮が必要です。声の大きさについては、大きければいいというわけではなく、普通よりも少し大きいくらいのボリュームを意識しましょう。また、ゆっくり、かつハッキリ喋るようにしてください。特に、カ行・サ行・タ行が間違えやすい傾向にあります。語頭をハッキリ発音することを心がけてください。会話だけにこだわらず、大事な要件については紙に書いて視覚情報と組み合わせて伝えるといった工夫も必要です。相手との距離については近すぎても不快感を与えますので、約1~2mの距離で話すといいでしょう。