過ごしやすい環境を整えよう
環境整備の重要性
感覚機能が低下した高齢者は、住み慣れた自宅での生活においても様々なリスクが生じるため、過ごしやすい環境を整える必要があります。適切な補助器具や機器を使い、リスクを可能な限り排除しましょう。
生活環境の工夫
転倒のリスクを減らすためには、手すりの設置が効果的です。また、足を引っかけないように配線コードは露出しないようにしましょう。床の上にチラシや新聞を置くと滑って転ぶ可能性があるのでこまめにチェックしてください。ドアや戸棚についても、しっかり閉まっていることを確認しましょう。キッチンなどの水回りは、床に水がこぼれた場合はすぐに拭いてください。
物を置く場所はあらかじめ決めておき、使用後は必ず元の場所に戻してください。模様替えをする場合は本人にその旨を伝え、模様替えが完了した後は本人に確認してもらうようにしてください。物を重ねて収納すると取り出す際に危険なので、できるだけ重ねずにしまいましょう。また、日常生活でよく使用するものには分かりやすい印を付けておくことをおすすめします。市販の凸型テープなどが便利です。衣類についても、前後が分かりやすいように糸印などを付けておくと着替えをスムーズに行えます。最近はユニバーサルデザインの商品も増えているので、積極的に活用してください。
感覚機能の低下を補助する用具の使用もおすすめです。視覚に問題があるなら、遮光眼鏡や単眼鏡を使いましょう。筆記用具や調理器具に関しても、視覚が衰えた高齢者向けの商品があります。家電製品は音声ガイドがあるものを使用すると便利です。
聴覚をサポートする機器
聴覚が低下した人は補聴器を使ってください。残り僅かでも聴力が残っていれば、その力を最大限まで引き出してくれます。周囲の環境に応じてボリューム調整を自動で行ってくれる機能や、自動的に雑音をシャットアウトする機能など、最近の補聴器は非常に優秀です。これによって、日常生活の不便さを大幅に解消するとともに、事故などのリスクを軽減できます。
補聴器までは必要ない場合や、金銭的に難しい場合はその他のサポートグッズを使ってみましょう。テレビの音を聞こえやすくする手元スピーカーや、コミュニケーションを取る際に便利な文字・音声変換アプリなどがあります。どういった場面で不便さを感じているかが明確な場合は、このようなサポートグッズが役に立ちます。過ごしやすい環境を整えることで様々なリスクが軽減できるだけではなく、スムーズなコミュニケーションが可能となり、精神面の安定にもつながります。