どんなふうに見えるの?
全体的な変化
加齢によって視覚が衰えることで、周りの景色がどのように見えているのかを具体的に紹介していきます。加齢による視覚の変化として一般的に挙げられるのが水晶体への影響です。水晶体が成長を続けることで厚みを増していくと同時に柔軟性が失われていきます。透過率が減少し、瞳孔の大きさを調整する筋肉が弱まっていくことで明るさの変化にも対応できなくなっていきます。また、筋肉の衰えは水晶体の厚みを調整する毛様体の動作にも影響を与えるため、遠近の調節機能が弱まり、近くのものが見えにくくなります。
瞳孔の面積が減り透過率が低下することで、網膜に光を取り入れられる量が減ります。60代の人は、20代の人と比べると7割近くも光量が少なくなると言われています。そのため、明るさを判別しづらくなり、日常生活が困難になります。また、水晶体が厚くなりだんだん黄色く変化していくことで光の透過率が低下し、視界全体が黄色味を帯びていきます。
食事・調理時
色が変わって見えることにより大きな影響を受けるのが、食事や調理などの食に関する部分です。例えば、白米や豆腐、牛乳などの白い食品や、レタスやキャベツ、大根などの色の薄い食品が黄色っぽく写るため、新鮮な状態でも傷んでいるように見えます。ほうれん草やわかめなどの緑色の強い食品、茄子などの紫色の食品は黒っぽく写り、腐っているように見えます。逆に、煮物やおでんなどの茶色い食品は美味しそうに見えますが、煮えていなくても煮えているように見えるため、口に含んだ際に違和感を覚えることがあります。
また、調理時に焦げた部分が焦げていないように見えるため、焼き・揚げの調理に支障をきたします。彩りを考えて盛り付けをしても、イメージにそぐわないように感じます。食べ物だけではなく、白い食器は汚れているように見えてしまい、食欲の減退につながります。
買い物時
色の変化は買い物にも影響を与えます。シャンプーとリンス、洗剤、缶コーヒーなど、容器が同じで色で種類を分けている商品は区別しづらくなります。特に分かりづらいのが、白い容器と黄色い容器の違いです。また、液晶画面に出るメッセージも見えづらくなるので、レジの金額表示や残高などが判別できません。特に、黒字にオレンジのLEDで表示されるレジは見えにくいです。
より詳しく知る
以上が、視覚の衰えによる見え方の変化です。高齢者は日常生活の様々な場面で不便さを感じていることが分かります。参考までに、より詳しく解説しているサイトを以下に紹介します。
- デザイナー向けのサイトですが、こちらのページでは高齢者が見えにくい色や見分けにくい色の組み合わせを細かく紹介しています。
- 高齢者が見えにくい色とは?見分けがつきにくい組み合わせもご紹介!