どんな見え方?聞こえ方?高齢者の世界

高齢者の音の聞こえ方

どんなふうに聞こえるの?

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聴力は徐々に落ちていく

人間は20歳あたりをピークに聴覚が衰えていきます。内耳には音を伝えるための機能を持つ有毛細胞が並んでおり、伝わってきた音に対して毛が震えることで音の情報を得ています。この有毛細胞が加齢により減少することで、音が聞こえにくくなっていきます。

聴力は徐々に落ちていく

日常生活における音の聞こえ方

高齢になると高い周波数が判別できなくなってくるため、電話の着信音や体温計などの音が聞こえにくくなります。くぐもった感じで、輪郭のないぼやけた音に聞こえます。さらに、リクルートメント減少によって小さい音が聞こえなくなっていきます。テレビドラマを見ていても、セリフがはっきりと聞こえなくなります。しかし、大きな音は若い人と同じかそれ以上にうるさく感じるため、テレビのボリュームを上げた直後に爆発シーンなどで大きな音を感じ、ビックリすることがあります。また、呼びかけに反応がなかったからといって耳元でいきなり大きな声で話しかけると驚いてしまいます。
さらに、周波数の分解能力が落ちることで音の微妙な変化に対応できなくなります。これにより、言葉の違いが分かりにくくなるため、会話によるコミュニケーションに大きな影響を与えます。有毛細胞の衰えが原因ですが、能力の低下は徐々に進んでいくためほとんどの高齢者には自覚がありません。
有毛細胞の毛が減ることにより、時間分解能力も落ちます。音を伝える力が弱まっているため、内耳から脳に伝えられる情報が若い人よりも少なくなります。そのため、言葉の内容を認識するのに時間がかかります。脳の機能が低下している場合は、認識するまでにさらに多くの時間が必要となります。これにより、バラエティ番組を見ていてもすぐには内容を理解できず、周りの家族は笑っているのに自分だけ盛り上がれないことに孤独感を覚えるなどの弊害が出てきます。

加齢性難聴のレベル

加齢性難聴はいくつかの段階に分けることができます。軽度の難聴は聴力レベルが30~50㏈にある状態で、小さい声やささやき声を聞き取りにくくなります。しかし、日常生活においてはそれほど支障はありません。中度は聴力レベルが50~70㏈にある状態で、会話中の言葉が聞き取りにくくなります。この段階になると、補聴器の使用が必要になります。高度は聴力レベルが70~90㏈の状態で、一般的な補聴器よりも高出力のものが必要となります。重度は聴覚レベルが90㏈以上の状態で、補聴器を使用しても効果がありません。そのため、人工内耳手術が必要となります。