どんな見え方?聞こえ方?高齢者の世界

色や音の感じ方の変化

高齢者が感じているもの

高齢者が感じているもの
  • 視覚が衰えることにより、具体的にどのような影響があるのかを紹介します。老化による視覚への影響として最も大きいのは水晶体機能の変化です。水晶体が厚くなり、周囲の筋肉が衰えることによって明るさを認識しづらくなり、近くのものが見えづらくなります。また、色の感覚が変化するため、食事の際に白い食べ物が黄色く見えて、食欲の低下につながります。買い物をする際には、同じ形状で色によって種類を分けている商品の識別が難しくなります。

  • 感覚機能の衰えと並行して心理的な変化が訪れます。これまでの社会的関係がなくなり、身近な人との死別を経験することで落ち込みやすくなります。特に仕事中心で生きてきた人は、定年を迎えて引退し、これまでの社会的交流が一気に断たれることで孤独感を感じやすい傾向にあります。家庭内においても役割が変化し、自分の子どもから指示を受ける場面が多くなります。喪失感に押しつぶされないようにするためには、新たな交流と今の状態に応じた社会的役割が求められます。

  • 内耳にある有毛細胞の数が減少することで、入ってくる音の量が少なくなります。最初は高い周波集の音が聞こえなくなっていきます。そのため、電話の着信音や体温計などの音が聞こえなくなります。次に小さい音が聞き取りにくくなるため、テレビドラマのセリフなどが分からなくなります。脳に入ってくる音の情報が少なくなると時間分解能力も落ちるため、会話の内容を理解するのに時間がかかります。重度の加齢性難聴になると人工内耳手術が必要になります。